こんにちは、4月のさかなデザイン社・川田です。
先日、図書館でふと、ある一冊に目が留まりました。
ミヒャエル・エンデと言えば、児童文学で知られたドイツ人作家です。「はてしない物語」「モモ」と聞けば知らない人はいないはず。小さい頃、ストーリーにドキドキしながらページをめくったことを思い出します。
ミヒャエル・エンデは、1925年、ドイツ南部・オーストリアとの国境近くのガルミッシュという地で、シュールレアリズムの画家である父と、孤児院で育ち、小さな商いをしていた母のものに生まれました。エンデが4歳の時、ナチス党・ヒトラーが首相に就任。15歳で名門校に入学するも落第をし、戦争の中で思春期を過ごします。1945年に第2次世界大戦が終戦。翌年、シュタイナー学校に送られ演劇に目覚めますが、俳優修業と挫折の日々。28歳の時に、旧友の勧めで「ジム・ボタン」シリーズを執筆。初めからストーリーを決めずに自由に書くやり方に筆は進み、児童文学賞を受賞。大ヒットとなり、生活も安定。
1971年、41歳の時にローマに移り住み、5年後に「モモ」、1979年、50歳で「はてしない物語」を発表。
その後、1995年65歳で亡くなるまで小説・絵本・詩集・戯曲など、多くの作品を生み出しています。
それで改めて「モモ」を読み返しました。昔、幼い頃に読んだ時には感じ取れなかった、資本主義経済破綻への危惧がリアルに感じられたのと同時に、ファンタジーの形で現実を突きつけるその表現力に面食らいました。
むかしむかし、のお話。小さな円形劇場に住み着いたモモ。周囲の住人は、身寄りのないモモを受け入れてくれます。小さなモモは話を聞くのがうまく、悩みを話せば、話してるうちに本人の考えがまとまり勇気付けられて問題が解決していくのです。そこには、貧しいながらもゆっくりとした幸せな時間が流れていました。
そこへ、誰も気づかぬ間に、静かに、時間貯蓄銀行から灰色の男が現れます。彼らは、おしゃべりや効率性のない仕事にいそしむモモの友人に「時間節約こそ幸福への道!」「きみの生活をゆたかにするために時間を節約しよう!」と時間の倹約を強制します。友人たちは効率性を優先し、仕事の能率は上がり、貧乏生活からは抜け出します。しかし心の余裕をなくし、性格も尖り、モモへの接し方も変わってしまいます。
モモは、カメのカシオペイアによって時間泥棒からの追跡から逃れ、みんなの奪われた時間を取り戻すために戦います。
ちょうど今日は衆議院議員選挙。「働き方改革」「ライフワークバランス」という言葉が巷で叫ばれるようになってから久しいですが、自分は何を選び、どのように生きていくのか?
今を生きる私たちは、とかく「忙しい」とか「時間がない」っていう言葉を、言ってしまいがち。
でも、忙しい=いいこと、でもないと思うし、忙しい=充実している、というのも少し違う気がします。
会話できているようで、全然できていない。伝えたいことが伝わらない。そんなことを思うのもしょっちゅうです。
「人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんできめなくてはならないからだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。」マイスター・ホラ(時間の神)の言葉
時間=生きること=人生
悩んで何もしない時間ほどもったいないことはないですね。
”正しい”生き方なんていうものもない。
目の前のことに集中しつつ、遠くを眺める。未来の話をする。
自分のできることを、精一杯。頑張りましょう!
参考: https://www.waseda.jp/student/shinsho/html/65/6519.html
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- 2017.10.22 Sunday
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- by 川田真由美